睡眠歯科
睡眠歯科

近年、「睡眠時無呼吸症候群」という言葉を耳にする機会が増えてきました。睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まったり浅くなったりすることで、十分な深い眠りが得られず、知らず知らずのうちに身体へ負担をかけてしまう病気です。
当院では、いびきや睡眠時無呼吸、歯ぎしり・食いしばりなど、“睡眠の質を低下させる要因”に対して歯科の立場からアプローチする診療に力を入れています。
私自身、10年以上にわたり多くの患者さまの診察を行ってきました。その中で強く感じてきたのは、睡眠に問題を抱えている方ほど、歯の痛みや被せ物のトラブル、顎や筋肉の不調を繰り返しやすいという事実です。一時的な歯の治療だけでは根本的な解決に至らず、原因が見過ごされてしまうケースも少なくありません。
だからこそ当院では、「歯を治す」だけでなく、「歯や顎に負担をかけない睡眠環境を整える」ことまで含めた診療を大切にしています。歯科の立場から睡眠を正しく理解し、将来のトラブルを予防できる環境を提供したい――その思いを軸に、日々の診療に向き合っています。
睡眠歯科は、まだ一般的に馴染みの少ない分野かもしれませんが、睡眠中の口腔内環境を守ることが、歯や全身の健康に深く関わっていることを、できる限り丁寧にお伝えしていきたいと考えています。ご興味があれば、ぜひ一度お話しさせてください。
睡眠時無呼吸症候群にはいくつかのタイプがありますが、実に9割以上の方が、気道の閉塞が原因で起こる「閉塞性睡眠時無呼吸(OSAS)」であるといわれています。
OSASは、睡眠中に舌の付け根(舌根)が沈み込み、気道が塞がれてしまうことで呼吸が止まる、あるいは浅くなる状態です。体重、顎の大きさ、骨格、扁桃の大きさなど、もともとの身体構造が関係していることも少なくありません。
無呼吸や低呼吸による低酸素状態が繰り返されると、高血圧、心疾患、脳血管疾患、糖尿病など、さまざまな生活習慣病のリスクが高まることも分かっています。
「いびきが大きい」「眠っている間に息が止まっていると指摘された」――そのような経験はありませんか。
これらの症状がある場合、一度詳しい検査を受けることが大切です。

当院では、睡眠時無呼吸症候群が疑われる患者さまに対し、歯科的な視点からのスクリーニング検査を行っています。レントゲン写真や口腔内写真を用いて、歯並びや顎の状態、気道の形態を評価し、必要に応じて提携している医科医療機関や大学病院へご紹介いたします。
医科では、自宅で行える「簡易型睡眠時無呼吸検査」や、入院下で行う「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」によって、無呼吸や低呼吸の頻度・重症度を詳しく調べます。
その結果、軽症から中等度と診断された場合、歯科で作製するマウスピース(OA:口腔内装置)による治療が適応となることがあります。
上下の歯に装置を装着し、下顎と舌を前方に誘導・固定することで、狭くなった気道を広げ、空気の通りを改善する治療法です。
当院のマウスピースは、これまで数多くの症例を経験する中で試行錯誤を重ね、機能性と装着感の両立を追求してきたオリジナル設計です。患者さま一人ひとりのお口の状態に合わせて、丁寧に調整を行います。
歯ぎしりや食いしばりは、睡眠中に無意識に行われることが多く、成人の約70%以上にみられるともいわれています。強い力が加わることで、詰め物や被せ物の破損、歯の摩耗や破折、知覚過敏、歯周病の悪化、顎関節症など、さまざまなトラブルの原因となります。
歯ぎしり自体を完全になくす方法は現在のところ確立されていませんが、歯や顎を守るための対策として有効なのがナイトガード(就寝用マウスピース)です。
就寝時にナイトガードを装着することで、歯や顎への負担を軽減します。自費治療後の歯の保護や、初めて使用される方にはソフトタイプを、歯ぎしりの力が強い方や顎関節への負担が大きいと考えられる場合にはハードタイプをおすすめしています。
長く安心してお使いいただけるよう、定期的なチェックや調整、洗浄指導も行っています。
TOP