2026年10月14日
こんにちは! 院長の渡邊です。
「子どもの口がなんとなく臭う気がする」
「毎日きちんと歯磨きしているのに、口臭が気になる」
「朝起きたとき、子どもの口が特に臭いのはなぜ?」
このようなお悩みをお持ちの保護者の方はいらっしゃいませんか?
実は、子どもの口臭は決して珍しいものではありません。
また、口臭というと、歯磨き不足やむし歯をイメージする方が多いかもしれませんが、
子どもの口臭には、舌の汚れや口呼吸、鼻や喉の状態など、さまざまな原因が関係しているとされており、
いわゆる大人の「口臭」とはまた分けて捉える必要がありそうです。
今回は、子どもの口臭について、国内外の研究報告をもとに、その原因とご家庭でできる対策、歯科医院への相談の目安について解説します。
子どもにも口臭はある?実は珍しくありません
口臭というと大人の悩みというイメージがありますが、子どもにも口臭はあります。
2018年に発表された日本の研究では、6〜15歳の小中学生768人を対象に口臭の調査が行われ、約45%に口臭が認められたと報告されています。
もちろん、これは調査時点での結果であり、約半数の子どもに常に強い口臭があるという意味ではありません。
しかし、子どもの口臭は決して特別なものではないことが分かります。
では、なぜ子どもの口が臭うのでしょうか?
子どもの口臭の主な原因は?
① 舌の汚れ(舌苔)
実は、子どもの口臭と特に関係が深いと考えられているのが、舌の表面の汚れです。
舌の表面には細かい凹凸があり、細菌や食べかす、剥がれ落ちた粘膜などが付着します。
これらが集まってできた白っぽい汚れを「舌苔(ぜったい)」と呼びます。

舌苔に存在する細菌がタンパク質を分解すると、口臭の原因となる物質が発生します。
先ほど紹介した日本の研究でも、舌苔が広い範囲に付着している子どもは、付着が少ない子どもと比較して、口臭が認められる割合が高いことが報告されています。
つまり、歯をきれいに磨いていても、舌の汚れが口臭の原因になっている場合があるということです。
ただし、舌が白いからといって、必ずしも異常というわけではありません。
また、舌の表面はデリケートなので、汚れを落とそうとして強くこすることは避けましょう。
② 口呼吸(お口がポカンと開いている)
子どもの口臭を考えるうえで、もう一つ注目したいのが「口呼吸」です。
普段からお口がポカンと開いている子どもや、寝ているときに口を開けている子どもでは、口臭が生じやすくなる可能性があります。

その理由の一つが、お口の乾燥です。
唾液には、食べかすや細菌を洗い流し、お口の中を清潔に保つ働きがあります。
しかし、口呼吸によってお口の中が乾燥すると、唾液による自浄作用が十分に働きにくくなり、口臭が強くなることがあります。
実際に、小児を対象とした研究でも、口呼吸と口臭の関連が報告されています。
また、子どもの口呼吸には、単なる癖だけでなく、アレルギー性鼻炎やアデノイド肥大などが関係していることもあります。
お子さんのお口が普段から開いている場合は、口臭だけでなく、鼻の通りや睡眠中の様子にも目を向けてみましょう。
③ 歯磨き不足・むし歯・歯肉炎
もちろん、一般的な歯科疾患も口臭の原因になります。
・歯と歯の間に食べかすが残っている
・歯の表面にプラーク(歯垢)が多く付着している
・むし歯の穴に食べかすが入り込んでいる
・歯肉炎によって歯ぐきに炎症が起きている
こうした状態では、細菌の活動によって口臭が発生することがあります。
特に、乳歯と永久歯が混在する生えかわりの時期は、歯並びや歯の高さが不揃いになり、磨き残しが生じやすくなります。
ただし、子どもの口臭があるからといって、必ずしも歯磨き不足やむし歯が原因とは限りません。
毎日しっかり歯磨きをしていても、口臭が気になることはあります。
④ 鼻炎や副鼻腔炎など、鼻・喉の問題
お口の中に明らかな原因が見当たらない場合には、鼻や喉の状態も確認する必要があります。
例えば、
・アレルギー性鼻炎などによる鼻づまり
・副鼻腔炎(蓄膿症)
・扁桃炎や扁桃にたまる汚れ
・アデノイドの問題
などが、口臭に関係することがあります。
特に、鼻づまりによって口呼吸が続いている場合は、お口の乾燥も加わり、口臭が強くなる可能性があります。
また、小さなお子さんで、急に強い悪臭が生じたり、片側の鼻からだけ臭いの強い鼻水が出たりする場合には、鼻の中に異物が入り込んでいる可能性もあります。
このような場合は、耳鼻咽喉科での診察が必要です。
朝起きたときだけ子どもの口が臭いのはなぜ?
「普段はそれほど気にならないのに、朝起きたときだけ口が臭い」
これは、保護者の方からよく聞かれるお悩みの一つです。
実は、朝の口臭は大人にも子どもにも起こる生理的な現象です。
睡眠中は唾液の分泌が少なくなるため、お口の中の細菌が増えやすくなります。
さらに、寝ている間に口を開けていたり、口呼吸をしていたりすると、乾燥によって口臭が強くなることがあります。
朝起きて、水分をとったり、朝食を食べたり、歯磨きをしたりすることで口臭が軽減するのであれば、必ずしも病気を心配する必要はありません。
一方、日中も強い口臭が続く場合や、鼻づまり・いびきなどを伴う場合には、原因を確認してみるとよいでしょう。
子どもの口臭には独特のにおいがある?
「大人の口臭とは少し違う、子ども特有のにおいがする」
そんなふうに感じたことはありませんか?
実際、子どもの口臭については、舌の表面や唾液中の細菌の種類・構成との関連を調べた研究もあります。
2016年の研究では、口臭のある子どもとない子どもで、舌の表面に存在する細菌の構成に違いが認められました。
このことから、子どもの口臭にも、お口の中の細菌のバランスが関係していると考えられています。
ただし、現時点では、子ども特有のにおいを生み出す特定の細菌や物質が、はっきり解明されているわけではありません。
口腔内の細菌、唾液の状態、舌苔、口呼吸など、さまざまな要因が組み合わさって、においの違いが生じている可能性があります。
【チェックリスト】お子さんの口臭、こんなことはありませんか?
お子さんの口臭が気になる場合は、次の項目をチェックしてみてください。
□ 朝起きたときに、特に口臭が強い
□ 歯磨きをしても、日中に口臭が気になる
□ 舌の表面に白っぽい汚れが多く付いている
□ 普段からお口がポカンと開いている
□ 寝ているときに口を開けている、またはいびきをかく
□ 鼻づまりや鼻水が続いている
□ 歯ぐきから出血することがある
□ 歯と歯の間に食べかすが残りやすい
これらは、口臭の原因を考えるためのチェック項目です。

当てはまる項目が多いからといって、必ず病気があるというわけではありません。
例えば、朝だけ口臭が気になる場合は生理的な口臭の可能性がありますし、口呼吸や鼻づまりがある場合は、鼻や喉の状態が関係しているかもしれません。
気になる症状が続く場合は、歯科医院で相談してみましょう。
子どもの口臭を改善するために、ご家庭でできること
① 毎日の歯磨きと仕上げ磨きを見直す
まずは、基本的な口腔清掃が大切です。
特に、奥歯の咬む面、歯と歯の間、歯ぐきとの境目などは磨き残しが生じやすい部分です。
年齢や歯並びに応じて、保護者の方による仕上げ磨きやフロスも取り入れましょう。
② 舌の状態を確認する
舌に厚い汚れが付着している場合は、口臭との関連が考えられます。
ただし、子どもの舌を無理に磨いたり、歯ブラシで強くこすったりすることはおすすめしません。
舌の汚れが気になる場合は、まず歯科医院で状態を確認してもらい、必要に応じて適切な清掃方法を相談しましょう。
③ こまめな水分補給を心がける
お口の乾燥は、口臭を強くする原因の一つです。
日中は適度に水分をとり、お口が乾燥しすぎないようにしましょう。
また、よく咬んで食事をすることも、唾液の分泌を促すうえで大切です。
④ 口呼吸や鼻づまりを放置しない
普段からお口が開いている場合は、鼻呼吸ができているか確認してみましょう。
ただし、鼻づまりがある状態で、無理に口を閉じさせることは適切ではありません。
鼻炎やいびきなどが続く場合は、耳鼻咽喉科での相談も検討しましょう。
子どもの口臭は何科に相談すればいい?
子どもの口臭が気になる場合、まずは歯科医院で相談していただいて問題ありません。
歯科医院では、
・むし歯や歯肉炎の有無
・プラークや舌苔の付着状態
・歯磨きの状況
・お口の乾燥や口呼吸の有無
などを確認することができます。
口腔内に原因が見当たらず、鼻づまりやいびきなどの症状がある場合には、耳鼻咽喉科での診察が適切なこともあります。
なお、急に果物のような甘いにおいや除光液のようなにおいが現れ、強い喉の渇き、頻尿、嘔吐、腹痛、ぐったりしているなどの症状を伴う場合は、
糖尿病性ケトアシドーシスなどの可能性もあるため、速やかな医療機関の受診が必要です。
においだけで病気を判断することはできませんが、普段と明らかに違う症状がある場合は注意しましょう。
まとめ|子どもの口臭は、歯磨き不足だけが原因ではありません
子どもの口臭は決して珍しいものではなく、さまざまな原因が関係しています。
特に重要なのは、
・舌の表面に付着した汚れ(舌苔)
・口呼吸によるお口の乾燥
・歯磨き不足やむし歯、歯肉炎
・鼻炎や副鼻腔炎など、鼻や喉の問題
といった点です。
また、朝起きたときだけの口臭など、生理的な現象として起こるものもあります。
大切なのは、口臭があること自体を過度に心配するのではなく、その原因を考えることです。
特に小さなお子さんの場合、口臭を繰り返し指摘すると、本人が必要以上に気にしてしまうこともあります。
保護者の方が気になる場合は、お子さんを不安にさせず、まずは歯科医院で相談していただくのがよいと思います。
当院では、むし歯の予防や歯磨き指導だけでなく、お子さんのお口の状態を総合的に確認し、それぞれに合ったケアをご提案しています。
西宮市 夙川・苦楽園エリア、並びに芦屋市、尼崎市、神戸市、大阪府近郊エリアにて、
「毎日歯磨きをしているのに、なぜか口臭が気になる」
などの相談先をお持ちの方、このようなちょっとした疑問でも、当院にお気軽にご相談くださいね。
院長 渡邊 翔太
【参考文献】
1. Ueno M, et al. Prevalence and risk factors of halitosis in Japanese school children. Pediatrics International. 2018;60(6):588-592.
2. Risk Factors, Diagnosis, and Management of Halitosis in Children: A Comprehensive Review. 2021.
3. Tongue Coating and the Salivary Microbial Communities Vary in Children with Halitosis. Scientific Reports. 2016.