2026年9月17日
こんにちは! 院長の渡邊です。
「寝ている間に歯ぎしりをしていると言われた」
「朝起きると顎がだるい」
「食いしばりが強く、歯が欠けたりしみたりする」
「顎関節症でマウスピースを勧められた」
こうした症状に対して、歯科医院でよく使用されるのが、いわゆる**ナイトガード(夜間用マウスピース)**です。

ところが、一口に「マウスピース」といっても、実はすべて同じものではありません。
当院では、歯ぎしり・食いしばりの程度、歯や被せ物の状態、顎関節や咀嚼筋の症状、装着時の違和感、睡眠時無呼吸症候群の有無などを確認したうえで、
「何のためにマウスピースを使うのか」から考えて装置を選択することを大切にしています。
今回は、当院で使用している代表的な夜間用マウスピースについてご紹介します。

① ソフトタイプのマウスピース ― 歯や被せ物を守る
比較的柔らかい素材で作るマウスピースです。
当院では厚さ2mm程度を標準としていますが、初めてマウスピースを使用する方や、装着時の違和感が強い方には、
1.0~1.5mm程度の薄いタイプから使用していただくこともあります。
主な目的は、歯ぎしり・食いしばりによって歯や修復物に直接加わる力から保護することです。
ソフトタイプには、「これ以上の目的はない」という点も選択の際に重要です。
ですので、たとえば、
・新しく装着したセラミックやCAD/CAM冠を守りたい
・歯ぎしりによる歯のすり減りや欠けを予防したい
・奥歯に強い力がかかり、知覚過敏などが生じている
・まずは違和感の少ないマウスピースから始めたい
といった場合に選択することがあります。
どのようなマウスピースを使用するときにも必ずご説明する大切な点が一点あるのですが、
歯ぎしりや食いしばりそのものがなくなるわけではありません。
そのため当院では、「歯ぎしりを治す装置」というよりも、まずは歯や被せ物へのダメージを軽減するための装置としてご説明しています。
また、顎の痛み、顎周囲の筋肉の痛みやだるさなど、いわゆる顎関節症の症状を伴っている場合には、次にご紹介するハードタイプを検討することがあります。
② ハードタイプのマウスピース ― 顎関節症や筋肉の症状にアプローチ
硬い樹脂で製作し、患者さまのお口の状態に合わせて咬み合わせを細かく調整するタイプです。
顎関節症に使用されるものとしては、いわゆるスタビライゼーション型スプリントなどがあります。
単純に「歯を覆って守る」だけではなく、装置上で上下の歯が接触する状態を調整することで、
顎関節や咀嚼筋に過度な負担がかかりにくい環境をつくることを目的とします。
下顎を「下顎が本来おさまりたい場所に位置付けるサポートをする装置」というイメージを持っていただいても良いかもしれません。
たとえば、
・朝起きたときに顎が疲れている
・こめかみや頬の筋肉がだるい、痛い
・食いしばると顎周囲に不快感がある
・顎関節症に伴う筋症状がある
といった場合に、診断に応じてご提案します。
顎関節症の治療では、マウスピースだけですべてを解決するわけではありません。
生活習慣の見直し、日中の食いしばりへの対応、セルフケア、運動療法などを組み合わせながら症状の改善を目指すことが大切です。
そのうえで、適切に調整されたスタビライゼーション型の口腔内装置は、顎関節症に対する保存的治療の選択肢の一つとされています。
また、歯ぎしり・食いしばりが非常に強く、ソフトタイプのマウスピースでは短期間で穴が開いたり、著しく劣化したりする方についても、
耐久性などを考慮してハードタイプへ変更することがあります。

③ 睡眠時無呼吸症候群のためのマウスピース
同じ「夜に装着するマウスピース」でも、こちらは目的が大きく異なります。
睡眠時無呼吸症候群(OSA)に対する口腔内装置は、下顎を適切な位置まで前方へ誘導することで、睡眠中の気道を確保しやすくするための装置です。
当院では、睡眠時無呼吸症候群が疑われる患者さまについては歯科だけで完結させるのではなく、
内科・睡眠医療を担当する医療機関と連携して診断・治療を進めています。
医科で睡眠時無呼吸症候群と診断され、口腔内装置による治療が適していると判断された患者さまには、
当院でマウスピースを製作し、無呼吸・低呼吸症状の改善を目指します。
睡眠時無呼吸症候群の治療ではCPAPが最後の砦となる最も効果の高い治療法とされており、
当然重症度や患者さまの状態によっては、CPAPの使用が適切なケースもございます。
無呼吸用マウスピースがすべての患者さまに適しているわけではないため、医科との連携と適切な診断が非常に重要です。
当院の睡眠時無呼吸症候群への取り組みについては、以前の記事でも詳しくご紹介していますので、
良ければこちら「睡眠時無呼吸症候群への取り組み」もご覧ください。
④ それ以外のマウスピースを応用することもあります
実際の診療では、「ソフト・ハード・睡眠時無呼吸症候群用」の3種類だけですべての患者さまに対応できるわけではありません。
たとえば、
・矯正治療後の保定用マウスピース(リテーナー)との兼ね合いを考える
・上顎ではなく下顎にマウスピースを作製する
・必要に応じて上下両方に装着する装置を検討する
・セラミックやインプラントなどの補綴物や歯の欠損状態を考慮して設計する
など、患者さまのお口の状態や治療歴、症状、生活スタイルによって選択肢は変わります。
「歯ぎしりがあるから、とりあえず全員同じマウスピース」ではありません。
何を守りたいのか。
歯の保護が目的なのか。
顎関節や筋肉に症状があるのか。
睡眠中の呼吸に問題があるのか。
そして、毎晩無理なく使用できる装置なのか。
こうした点を考えながら、患者さまごとに適した方法を選択することが大切だと考えています。
「歯ぎしり・食いしばり」だけを見ない診療を
夜間の歯ぎしりや食いしばりは、非常に身近な問題です。
一方で、その背景には歯の摩耗や破折、知覚過敏、セラミックなどの補綴物への負担、咀嚼筋の痛み、顎関節症、さらには睡眠に関連する問題など、さまざまな要素が隠れていることがあります。
「歯ぎしり・食いしばり」についても、以前に記事にしておりますので、良ければご一読ください。
そのため当院では、単に「マウスピースを作って終わり」ではなく、
なぜマウスピースが必要なのか、何を目的として使用するのかを診断したうえで、装置の種類や設計を選ぶこと
を大切にしています。
院長である渡邊は大阪大学歯学部附属病院で顎関節症診療に携わってきた経験を生かし、
顎関節・咀嚼筋・歯ぎしり・食いしばりだけでなく、睡眠時無呼吸症候群を含めた「睡眠とお口の健康」にも力を入れています。
「朝起きると顎がだるい」
「歯ぎしりを家族に指摘された」
「食いしばりで歯がしみる」
「マウスピースを使っているけれど、これで合っているのかわからない」
「顎関節症について一度きちんと診てもらいたい」
このようなお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
西宮市・夙川・苦楽園エリアや、芦屋市、尼崎市、神戸市、および大阪府近郊エリアで、
歯ぎしり・食いしばり・顎関節症・ナイトガード・睡眠時無呼吸症候群についてお悩みの方々へ、
症状だけを見るのではなく、歯・咬み合わせ・顎関節・筋肉・睡眠まで含めて考え、一人ひとりに適した選択肢をご提案できる引き出しの多さを感じていただけましたら幸いです。
皆さまからのお問い合わせ、ご来院をいつもお待ちしております。
院長 渡邊 翔太