2026年6月10日
こんにちは! 院長の渡邊です。
本日は、「くすり」の話です。
私たちも日常的に処方し、薬の力も借りながら皆さまの治療にあたっていますが、
お薬を手にした皆さまの中には「どんな薬が出ているのだろう?」「知っている薬と何が違うのだろう?」「こんな風に飲んでいいの?」と疑問に思われたこともあるのではないでしょうか。
歯科で処方される薬には、主に「痛み止め」「抗生剤」「塗り薬」などがあります。
今回は当院でもよく処方するお薬について、その特徴や使い方を分かりやすくご紹介します。
※お薬の選択は、年齢や持病、服用中のお薬、妊娠の有無などを考慮して行います。実際の服用方法は必ず処方時の説明に従ってください。
痛み止め(鎮痛薬)
歯を抜いた後や神経の治療後など、一時的な痛みを和らげるために処方されます。

カロナール(一般名:アセトアミノフェン)
現在、歯科で最も幅広く使用されている痛み止めの一つです。
アセトアミノフェンは胃腸への負担が少なく、副作用が比較的少ないことが特徴です。そのため、
・小さなお子さま
・妊娠中・授乳中の方
・高齢の方
・全身疾患をお持ちの方
など、幅広い患者さんに使用できます。
後述するロキソニンと比較すると鎮痛効果はやや穏やかですが、安全性が高いことから、近年では第一選択として使用されることが増えています。
また、医師や歯科医師の指示の範囲内であれば、痛みの程度に応じて服用量を調整しやすいことも特徴です。
ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)
長年にわたり広く使用されてきた代表的な痛み止めです。
鎮痛効果が高く、健康な成人では十分な効果が期待できます。
一方で、胃痛、胃潰瘍、腎機能への影響 などの副作用には注意が必要です。
このような症状を感じられた場合は、服用を指示された場合でも使用を控え、医院に相談するようにしましょう。
また、服用回数や服用間隔にも制限があります。
以前は歯科の痛み止めとして頻繁に処方されていましたが、近年では安全性を重視する考え方から、
まずはカロナールを使用し、それでも十分な効果が得られない場合にロキソニンを選択するケースも増えています。
ボルタレン(一般名:ジクロフェナク)
歯科で使用される痛み止めの中でも、比較的強い鎮痛効果を持つ薬です。
・特に強い痛みがあり、患者さまのご希望がある場合
・通常の痛み止めで十分な効果が得られない場合
など、限定された状況で処方されることがあります。
その反面、副作用にも注意が必要であり、すべての患者さんに適しているわけではありません。
結局のところ痛みには原因があり、歯科で解決できる問題には治療的アプローチによって、
痛みを緩和させることができますので、「単に効果の高い薬に頼った歯科診療」は当院では行いません。
従って、ボルタレンやそれ以上の鎮痛効果をもつ薬を処方することは滅多にありませんので、ご安心くださいね。
抗生剤(抗菌薬)
続いて、抗生剤にいきます。
抗生剤は細菌による感染を抑えるための薬です。
歯ぐきの腫れや感染、抜歯後の感染予防などで処方されることがあります。
しかし近年では、「とりあえず抗生剤を出しておく」という考え方は見直されています。
抗生剤を必要以上に使用すると、
・薬が効きにくい耐性菌の増加
・下痢などの副作用
・アレルギー反応
などの問題が起こる可能性があります。
そのため現在は、本当に必要な場合にのみ、必要最小限の期間で使用することが推奨されています。

サワシリン(一般名:アモキシシリン)【ペニシリン系抗生物質】
歯科領域で最も標準的な抗生剤です。
ペニシリン系薬剤にアレルギーがない患者さんでは、第一選択となることが多い薬です。
歯科で起こる細菌感染に対して有効性が高く、現在のガイドラインでも広く推奨されています。
クラリス(一般名:クラリスロマイシン)【マクロライド系抗生物質】
ジスロマック(一般名:アジスロマイシン)【マクロライド系抗生物質】
ペニシリン系抗生剤が使用できない場合や、患者さんの状態に応じて選択されます。
比較的安全性が高く、
・お子さま
・妊婦の方
・高齢者
などにおいても使用しやすい抗生剤です。
ただし、すべての感染症に有効というわけではなく、症状や原因菌に応じて適切に選択することが重要です。
フロモックス(一般名:セフカペンピボキシル)【セフェム系抗生物質】
以前の歯科医療では非常によく処方されていた抗生剤です。
しかし近年は、抗菌薬適正使用の考え方が広まり、歯科での優先順位は以前ほど高くありません。
もちろん現在でも有効な薬ですが、「どの抗生剤を選ぶべきか」を科学的根拠に基づいて考えるようになった結果、以前より使用頻度は減少しています。
お口に使う塗り薬
オルテクサー(一般名:トリアムシノロンアセトニド)
口内炎や口腔内の傷に使用する軟膏です。
・口内炎
・頬や舌を噛んでしまった傷
・火傷やその他の裂傷
などに使用します。
ステロイド成分を含んでいるため、炎症を抑えたり痛みを軽減したりする効果があります。
適切に使用することで、
痛みの軽減、食事のしやすさの改善、治癒期間の短縮 など快適になることが多く便利な薬です。
ただし、長期間の使用や過剰な使用は好ましくないため、歯科医師の指示に従って使用しましょう。
まとめ
歯科で処方される薬は、「痛みを抑える」「感染を防ぐ」「傷の治りを助ける」など、それぞれ大切な役割を持っています。
一方で、どんな薬にも効果だけでなく副作用がありますから、「クスリ」は「リスク」とよく言われます。
近年の歯科医療では、「本当に必要な薬を、必要な期間だけ使う」という考え方が主流になっています。
当院でも、患者さんの年齢や全身状態、服用中のお薬などを十分に考慮しながら、一人ひとりに適した処方を心がけています。
お薬についてご不明な点がありましたら、お気軽にご相談くださいね。
院長 渡邊 翔太