2026年10月21日
こんにちは! 院長の渡邊です。
以前、当院のブログでは、口の中にできる水ぶくれのようなできもの「粘液嚢胞」についてご紹介しました。
今回は、同じ口の中のできものでも、もう少し小さな、歯ぐきにできるニキビやおできのようなできものについてお話しします。
「歯ぐきに白いニキビのようなものができている」
「痛みはないけれど、小さなできものがずっとある」
「一度つぶれてなくなったのに、また同じ場所にできた」
このような症状がある場合、「フィステル(瘻孔)(サイナストラクト)」と呼ばれる、歯の根の周囲などの炎症によってできた膿の出口かもしれません。
呼びやすいので、この記事では以下「フィステル」とします。
フィステルは、痛みがほとんどないことも多く、患者さん自身があまり気にせず過ごしている場合もあります。
しかし、痛みがないからといって、問題がないとは限りません。
今回は、歯ぐきにできるフィステルについて、その原因や治療方法、放置した場合のリスクなどをわかりやすく解説します。
① フィステルとは?歯ぐきにできるニキビのようなできもの
フィステルとは、歯の根の周囲などに生じた炎症によってたまった膿が、歯ぐきの表面へ排出される際にできる通り道のことです。

歯科では「サイナストラクト」と呼ばれることもあります。
見た目には、歯ぐきにできた小さなニキビや、白っぽいできもののように見えることがあります。
特徴としては、
・歯ぐきに白色や赤色の小さな膨らみができる
・痛みがほとんどない場合がある
・できものがつぶれて、小さくなったり消えたりする
・しばらくすると同じ場所に再びできる
・押すと膿が出てくることがある
といった症状が挙げられます。

特に、できものができたり消えたりを繰り返している場合は、歯の根の周囲に慢性的な炎症が存在している可能性があります。
ただし、歯ぐきのできものがすべてフィステルというわけではありません。
歯周病による膿瘍や、その他の粘膜疾患などでも似た症状がみられるため、歯科医院での診断が必要です。
② なぜフィステルができるの?
フィステルができる原因として代表的なのが、歯の根の先端に炎症が生じる「根尖性歯周炎」です。
むし歯が進行して歯の神経が感染した場合や、過去に根管治療を受けた歯の内部で細菌感染が残存・再発した場合などに生じることがあります。

歯の根の内部に存在する細菌が原因となって、根の先端付近に炎症が起こり、膿がたまることがあります。
その膿が骨の中から歯ぐきの表面へと排出される通り道を形成すると、フィステルとして確認されるようになります。
つまり、歯ぐきのできもの自体が病気の本体なのではなく、歯の根の周囲に原因が隠れていることがあるのです。
また、歯周病による深い歯周ポケットや、歯の根が割れる「歯根破折」などが原因となる場合もあります。
③ 痛くないのはなぜ?放置しても大丈夫?
フィステルの特徴の一つが、痛みをほとんど伴わない場合があることです。
歯の根の周囲に膿がたまると、内部の圧力が高まり、痛みや腫れが生じることがあります。
しかし、フィステルが形成されて膿の排出経路ができると、圧力が逃げるため、痛みが軽減したり、ほとんど感じなくなったりすることがあります。
そのため、患者さんからは、
「痛くないので、そのままにしていました」
というお話を伺うこともあります。
しかし、痛みがないことと、炎症が治っていることは別問題です。
フィステルはその性質上、自然に小さくなったり、一時的に消えたりしやすいものでもあります。
しかし、原因となる細菌感染が残っていれば、再び症状が現れることがあります。
炎症が長期間続くと、歯の根の周囲の骨が失われることもあり、歯の保存が難しくなる場合や、急性化すると強い痛みや腫れが生じることもあります。
そのため、痛みがなくても、歯ぐきに繰り返しできものができる場合には、早めに歯科医院で確認することをおすすめします。
④ フィステルはどのように治療するの?
フィステルの治療では、できものそのものを取り除くことよりも、原因となっている感染や炎症を治療することが重要です。
まず、口腔内の診察やレントゲン検査などによって、原因となっている歯や炎症の状態を確認します。
必要に応じて、細いポイントをフィステルの通り道に挿入してレントゲン撮影を行い、原因となる歯を特定することもあります。
治療方法は原因によって異なります。
根管治療
歯の根の内部にある細菌感染が原因の場合、根管治療を行います。

感染した根管内を清掃・消毒し、感染源を取り除くことで、根の先端の炎症が改善することを目指します。
適切な治療によって感染が改善すれば、フィステルも自然に消失していくことが期待できます。
過去に根管治療を受けた歯であっても、状態によっては再根管治療によって改善できる場合があります。
外科的な治療
通常の根管治療だけでは改善が難しい場合には、歯根端切除術などの外科的な治療を検討することもあります。
ただし、すべての症例に適応できるわけではなく、歯の状態や炎症の範囲などを考慮して判断します。
歯周病や歯根破折が原因の場合
歯周病が原因であれば、歯周ポケット内の感染や炎症に対する治療が必要です。
また、歯根破折が原因の場合には、破折の位置や範囲によって治療方針が異なり、残念ながら抜歯が必要となる場合もあります。
このように、見た目が似たできものであっても、原因によって治療方法は大きく異なります。
⑤ フィステルができた歯は、抜歯しなければいけない?
フィステルができているからといって、抜歯が必要というわけではありません。
原因が根管内の感染であり、歯の状態が保存に適していれば、根管治療によって改善し、歯は残せることが多いです。
一方で、歯根破折が認められる場合や、大きなむし歯・歯周病などによって歯の保存が困難な場合には、抜歯を検討することもあります。
大切なのは、フィステルという症状だけで判断するのではなく、原因となっている歯の状態を正確に把握することです。
当院でも、可能な限りご自身の歯を残すことを大切にしながら、診査・診断に基づいて治療方針をご提案しています。
⑥ 歯ぐきのできものが気になったら、早めのご相談を
歯ぐきにできる小さなできものは、痛みがないとつい放置してしまいがちです。
しかし、その原因が歯の根の周囲にある場合、できものが消えたとしても、感染や炎症が治ったとは限りません。
特に、
・歯ぐきにニキビのようなできものがある
・同じ場所に繰り返しできものができる
・以前、神経を取る治療をした歯の周囲が腫れている
・痛みはないけれど、歯ぐきから膿が出てくる
といった症状がある場合には、一度歯科医院で確認することをおすすめします。
当院では、当然のことながら、むし歯や根管治療、歯周病など、歯ぐきのできものの原因となるさまざまな疾患に対応し、可能な限り「歯を残す」ことを理念に診療を行っております。
西宮市 夙川・苦楽園エリア、ならびに芦屋市、尼崎市、神戸市、大阪府近郊のエリアで、
歯ぐきの腫れやできものが気になる方、その他の治療についてのお悩みをお持ちの方がいらっしゃいましたら、
いつでもお気軽にご相談くださいね。
院長 渡邊 翔太